◎解説 「ノボさん、ノボさん」「なんぞなもし」 明治二十年。新時代の躍動とともに、ノボさんこと正岡子規は二十歳を迎えた。アメリカ渡来のべーすぼーるに夢中の青年は、俳句・短歌・小説・随筆、あらゆる表現に魅入られ、やがて日本の文芸に多大な影響を及ぼす存在となる。 子規は常に人々に囲まれていた。友人、師、家族から愛され、子規もまた彼らを慕った。そしてこの年、東京大学予備門で運命的な出会いを果たす。同じく日本の文学の礎となる、金之助こと夏目漱石である。志をともにする子規と漱石は、人生を語り、夢を語り、恋を語った。明治三十五年、子規の余命が尽きるまで、誰もが憧れた二人の交際は続く。子規と漱石の友情を軸に、夢の中を走り続けた人、ノボさんの人生を描く。 小説家・伊集院静がデビュー前から温めていたのは、憧れの人、正岡子規の青春。野球と文芸に魅入られた若者の姿は、著者の青春そのものだった。三十年にわたる作家生活の中で、ずっと憧れ、書きたかった。書かなければ、先には進めなかった。 『いねむり先生』から二年半、誰もが待ち望んだ青春小説の誕生
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